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 皿に前回の窯の火床に残った割り木の灰、30番の「通し(フルイ)」でふりかける。 これは素焼きしたあるけど、素焼きしてない生の素地(きじ)やったら、うすい食塩水(海の水より薄いカンジ)にジャボッと 浸けてすぐ灰フリカケ。塩いれると素地もちょっと赤くなるから。 完全に乾いた品もンを水につっこんでも割れないかとご心配のムキもおられるでしょうが、だいじょーぶ、サッとつけるぐらいやったら、割れたりはしません。信楽の古陶土(キロ¥45)は安い土やけどユーシューです。
 浸けたら水が引くまえに、徳利やなんかでもまわしながら裏のほーまでグラデュエーションさせて灰振ってね♪いかにも薪焼成中に自然に灰がかかった、ってふーにね♪
 見るヒトがみればバレますよー。
 素焼きしてあると、この方法では裏まで灰がかけられへんので・・・スプレーのりを噴射して手早くフリカケましょー。 道具土(キロ¥40)での目打ちについてですが・・・焼け締まらん土なんで火前の灰がとけて流れそーなトコに詰めるもんは全部これで持ち上げて焼く。
 どーやって付けるかとゆーと、まるめた道具土のタマを口にしてたっぷりツバをだして品もンにねじこむよーに圧着する。窯で1200度で焼くんやし消毒はカンペキ。 生素地やとカンタン。素焼きしたもんでもなんとかつく。モチロンとれやすいから手早く、だましだまし窯に詰めること。こんなふーにね・・・・
 
 5段重ねで裏返しにつんだ皿がてっぺんに見えますね。表向けやと皿の内側を火が走らんと飛び越えるンで、目打ちによる『流星の景色』はでませんよー。
 さて窯の2列目より中のほーでの景色の作り方。 
 こーゆーふーにすると、こーなる。 
 左の鉢、ワラしいてセンベイをおけば「抜け満月に緋だすき」 淡い土味だけの調子やけど、たっぷりと水を吸わせたこの鉢に食材が盛られたら・・・器は料理のキモノ。ソーゾーして見てください。
 センベイと品もンのあいだにワラをいれずにマスキングすると「緋だすき」はでません。なのでセンベイをちぎって幾何抽象文に構成してみたのが右上。この黄色の灰の融けかかったんは自然の降灰です。 右下の同形のだ円の鉢はセンベイによる「満月」と赤貝でこーなりました。 センベイとはなんぞや。古陶土の小(長石粒が入って無い細かい方)を円柱にまとめ、3ミリ厚にタタラで切って(ステンレス線でスライスして)、すくも(燻炭=モミガラを燻したもの)をまぶしたものです。
 まぶさないと焼きついて取れません。松の灰は1200〜1300度で融けるのにワラやモミガラは融けない。そんだけ火に強い。
 あー、棚板と品もンのしたにも敷くワラですけど・・・もち米のワラは融けますから、うるち米のワラにしてくださいね、こっちは融けません♪
 燻炭は秋に農家の方にもらいます。農家の方は稲モミの廃物利用として晩秋のタンボで野焼きしてこれをつくり、黒いから太陽熱を集めるっちゅーことで畑にまいたりしゃはるんだそーで、肥料にもなんのかなー。
 くすべてない生のモミガラをセンベイにまぶすのは不適当です。生モミガラまぶしセンベイをかぶすと品もン表面にこまかく炭化したアトがつきますよー♪ 
             えーと、これぐらいかなぁ。なんか分らんことあったら聞いてくださいね。
 あー、そうそう・・・  いちばん最初のフリカケのとこで「不自然なフリカケは見る人が見ればばれる」と書きましたが、ばれるもなにも『オモロイもんを作る』って腹くくれるやったら、これを逆用することも可能。
 穴窯で、松割木だけで、フツーに焼いたんではぜったいできない、『景色』をつくってるユーメーな陶芸作家もいますから。 ケヤキや雑木の木を燃やして灰を取り、ふりかけ。重油のバーナーで温度あげて松割り木でしあげる。
 松割り木やないと温度は上がらんから赤松を使うんやけど、熱源を重油などほかにもとめるんやったら「松の灰の景色」以外が得られるもんね。
 松だけではできない新しい『景色』。合理的。さらーに、3〜5年雨ざらしにして、
 使い込んだよーにこなれさせる。
 これヘタすると贋作つくりが古色をつける手口やけど、品もンが飛び抜けて「力感」があり「枯淡の味」が出てて、
 桃山期の「男の茶会」にぴったりのエエもんができてますからね。そのこと隠さはらへんしね。
 発想の転換。とらわれていてはイカンよね。『伝統を守る』『古法墨守』だけではアカンし、『土と炎の芸術』的いいまわしや神秘主義に作り手自身がふりまわされていては・・・
 穴窯焼成は原始的な窯業の『技術』ものすごく不合理で不確かな『技術』
 思うとーりにはならない『自然』に、
 たったひとり稚拙な『技術』でもって立ち向かうこと。
 穴窯を焚くのにヒツヨーなんは『かしこい中学生のアタマ』 中途半端な知識でいっぱいにつまってる大人のアタマをサラにして、『かしこい中学生』のアタマにもどって考えることができるかどーか。そんな『技術』やと思います。 『窯の神の神秘』を語るのは『技術』でたちむかって、いくつものカベを越えに越えて、その先でエエと思う。
 その先の先に・・・『技術』ではない領域が きっとある。
   穴窯焼成の実際11 検証 赤貝/備前土 |