なごみのミドリ やすらぎの白 はんなりの赤
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『穴窯焼成の実際』
穴窯焼成の実際1「火床につめるもの」
穴窯焼成の実際2 奥2列の窯詰め
穴窯焼成の実際3 中/火前/火床の窯詰め
穴窯焼成の実際4 窯焚き ウマシミリショーレー
穴窯焼成の実際5 炎/木蓋(きぶた)
穴窯焼成の実際6 3晩目に突入ー!
穴窯焼成の実際7 窯焚き終了
穴窯焼成の実際8 窯出し 拝答謝し奉る
穴窯焼成の実際9 検証 火床の品もン
穴窯焼成の実際10 検証 棚(火前/中)の品もン
穴窯焼成の実際11 検証 赤貝/備前土
穴窯焼成の実際12 焼き直し/水止め/直し

穴窯焼成の実際1「火床につめるもの」
さて穴窯ではどんなモンを焼くか・・・
こんなヘンなモンを焼く。


『カイダンの花入れ』 階段はいっぺん作りたかった。

穴窯は焚口が1つで温度にすごくムラがある。
火に近いトコは1300度。奥の方は1100度。

なので・・・
奥、中、火前(火に近い棚組)、火床(薪の貯まるトコの壁際にもモノを詰める)と4ケ所、それぞれちがうやきものができる。

熱と流れる火と灰に『天然自然の絵を描いてもらう』わけやけど場所によってちがう絵(やきものの景色、味わい)になる。そやからその場所に応じた土を使いわけるし、作る物もちがってくる。

今日は投げこんだ薪を溜めて温度が上がるようにする「火床」部分に詰めるもの。

火床は焚き口(燃焼室)そのものですから燃える薪がたまっていきます。キラキラと輝く燠(おき)になってたまっていきます。ためないと温度あがらない。ためすぎても温度あがらない。見極めがカンジン。

火床の壁際に押し付けるようにして詰めるモンは温度上がるとも言えるし、あがらん(焼きが甘くなる)ともいえる。
火にもっとも近いから上がるはずやねんけど、さっき云ったオキに早い段階で埋もれると甘くなる。

甘くってもええねん。
火床につめてうまく行くと、コゲ/緋色/抜け/ビードロ、薪の窯で出る4つの景色が全部出る。

でも投げ込む薪にあたって割れたり、たまっていくオキに押されてコケたり、となりの品もンとひっついたりしがち〜♪

なので『不確かな賭け』に出るしかない。
なので値段のとれる茶陶の花入れや作品性の強い花器やオブジェを詰める。割れんとのこったモンに値段をかけさしてもらう。またそんだけの価値のあるモンをねらう。

まっ、たいていエエのんにかぎって割れてるんやけど〜♪

では火床用作品の作り方を教えましょう。

火床はスペースないですから縦長の作品がいい。
作品性を高めるひとつの手はロクロではなく手びねり。
手びねり一品制作で変形花器やオブジェを確実に早く作るにはこんな台があるとベンリ!

ネジ止めした心棒に・・・新聞紙を巻き付け・・・
21ミリ厚のタタラ板をぐるっと巻き付け、接合部をしっかり圧着する。

あとは底にあたる部分をつくって好みの形、彫り文様などを入れる。心棒が入ってるンで土やわらこうてもグイグイやれる。叩き板や各種へらを駆使してねー♪

この辺の作業がいちばん楽しい。
1つやると「待てよっ、こここうするとこうなって・・・」とつぎつぎに新しいアイデアが出るんで、追っかけるとどんどんオモシロくなるー♪

できたら上下逆にして心棒から引き抜く。
新聞紙を巻いとかんとひっついてしもて引き抜けへんでー。
ハイッ、花入れの完成。ハイッ、つぎのモン作るっ。

この空洞部分がダイジ。
オブジェとかでも全部中まで土つまってると焼くときに爆発しやすいんで心棒とおしたってください。

乾燥は・・・
まあゆっくり乾燥させるにこしたことないけど・・・
ぼくはいざとなった夜通し旋風機で風送りますね。
これで1日あればどんな分厚い品もンも真っ白に乾きます。

火床は薪が飛んでくるし温度の急激な上昇があるんで分厚い品もンは素焼きした方がイイ、温度管理できる窯でね。

さて分厚いモンの素焼。

爆発しやすい分厚い品ほど

1、窯の天井部(下ではなく上)に詰めること。
2、持ち上げて焼くこと。

この2点が爆発をふせぐツボです。

素焼き時の爆発をおそれて、異常にながーく時間かけるヒトいますけど・・・必要ない。うちはフツーの素焼850度を4時間が基本。どんなにでっかい分厚い大壷でもそれより3時間ながく焼けばダイジョーブ。

150度までを2時間かけ、150〜300度を3時間かけて、あとはいつもどーり、1時間200度あげてもヘーキ。

爆発は表面のみが焼き締まっていって内部粘土の結晶水が抜けれないから起こるんです。
内部粘土の結晶水が抜けてから表面が焼き締まるようにするには、品物のすべての部分が窯の熱気に触れるようにすればいい。

☆だから持ち上げる。

大壷を何本も爆発させてわかりましたが、たな板にべた置きするとたな板に接地してる底中央部が吹っ飛ぶ形でしか爆発しません。
そこだけいつまでたっても熱い空気にふれることができないからです。
壷の内側には熱気が入って内面の底表面は焼きしまっていく、外面の底中央部だけはたな板に接地してるから温度上がらない→爆発。

もちあげれば外面の底も他の部分ンとおんなしように熱気にふれて結晶水がちゃんと抜ける。

上に詰めるのは温度計のそばでちゃんと温度がわかるから。こわがって下につめると上で150度でも下の火から遠い窯中央部はまだ50度だったりするでしょ。
これだと「150度まで2時間」っていうふうに温度管理することにならない。

素焼き時の爆発は150〜250度のあいだにしか起こりません。ここを温度管理して3時間かけてください。

☆温度管理できる所で焼く→爆発しやすいものほど上に詰める

この☆印2点が25年やってきて
何回も爆発を経験したぼくのアドバイスです。

 

穴窯焼成の実際2 奥2列の窯詰め

 




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