わがムスコ レン/リツ/ガクよ
おまえたちがいつか やきものをやる日のために書き残す ハプー山人の口伝書 『生きのびるための陶芸技法』 略して『生き陶』 心して聞けぃ・・・ -------------------------------------------- ★生き陶 9 取っ手 命! -------------------------------------------- 「取っ手つけ」はとてもダイジ 作り手の技量の差が出る 売ってるとお客さんはカップ持ち上げて見はる そんとき「じっさいに指をとおしてください」という 「指に吸い付くような取っ手をこころがけてます」といえ ほんとに ここちよく/もちやすい取っ手なら お客さんはそのコトバにうなずかはる カップ本体のカタチとマッチしていて 適度な手づくり感があって なにより持った時に保持しやすく 手に吸い付くような取っ手じゃないと→ダメ まず25グラムの粘土をヒモ状に10センチにのばして 扁平の三角の断面を持つ帯にする←ここがミソ 持つ人の人さし指/中指にピッタリとそう 取っ手の内側のカーブがダイジ それの両端にドベを適量つけて上をまず ニュニュッとねじこむように ゆすりこむように張り付ける ドベとは本体を作った時にでるドロドロの粘土のこと このドベをのりとして使って取っ手をつける 圧着するときに取っ手の上端に適度なクボミができるが このクボミが使う時に親指の押えになるんで クボミはあるほうが使い勝手がイイ クニュっとまげて下端も圧着し カタチを整えチェックする 本体に直角に張り付いてるか 水平/垂直の2方向から見る 取っ手のぬねりの補正 じっさいに指を通して・・・ 乾燥/焼成での収縮をみこんで=焼上げたあとにも 適度なゆとりがあるかどうかのチェックをする そして『キレイすぎない』かどうか チョッチョッチョッと指でつまんで→『綾:あや』をつける 手づくりならでは、機械生産品ではない1品ごとの あたたかく/遊びのある/素朴な土ものらしい デザインを盛り込んだ仕事にする カップ本体のカタチとマッチしていて 適度な手づくり感があって 強くイキオイのある品にする なにより持った時に保持しやすく 手に吸い付くような取っ手じゃないと→ダメ いらん手間を省きに省くのが うちのノウハウ=生き陶の眼目やけど 抜いたらいかんトコには充分な時間をかけろよ 取っ手つけには充分な気をくばって時間をかけろ オレがやっても1時間に20 それ以上はムリ あまたあるやきもの その中からうちの品を選んで買っていただくには 表面的なデザインがいかに良くっても また値段が手作りの物としては比較的安くっても それだけではまだまだ不十分 お使いになるお客さまの 手と指がヨロコブかたち でないと生きのびれない 機能面での実質的な良さ を 手作りの品のあたたかみある ゆらぎの中で実現できれば うちの品の良さを お客さまの手と指が覚えてくれはる 機械モンにはできんこと よそのやきもん屋が確実には実行してないこと ここをおさえて物をつくれば きっとこの先 お前たちの時代も やって行ける ---
★生き陶 10 白化粧をダイジに
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