わがムスコ レン/リツ/ガクよ
おまえたちがいつか やきものをやる日のために書き残す ハプー山人の口伝書 『生きのびるための陶芸技法』 略して『生き陶』 心して聞けぃ・・・ -------------------------------------------- ★生き陶 10 白化粧をダイジに -------------------------------------------- 白化粧とゆーのは品もンに白い土を掛けること 地面ってたいてー茶色いやろ 鉄分があるからや やきものに使う粘土も赤い土のほーが多い ま ウチはベージュ色の粘土 信楽の土屋「かね利」の古陶土を使うんが多い もっと白くするために白化粧を生掛けする ここがウチのベースやぞ 白化粧生掛け よそあんまりやってない タイミングが大事 生掛けするから品もンの養生(乾きの管理)を うまくやってケヅリしてすぐ生化粧すること 乾きぎみの品もンも 霧吹き/バケツの水にドボづけ3回で 化粧はできるけど そーならんのがベスト うちの化粧土のベースは河東(ハドン)カオリンや 釜山の西にある河東とゆーとこの白い土 朝鮮カオリンとともに昔ッから輸入されてる そやから最近は陶器祭で売る時なんか 「ヨン様の国の白でーす♪」とかゆーとウケる 本体をつくって半分乾燥したトコで化粧がけ 乾き切ってしまうと化粧はかけられへん 亀裂が入ってみんな割れてまう ちょうどいい生乾きになるよーに乾き具合を管理しろよ マグカップのバアイ 本体に取っ手をはりつけて その取っ手をうまく乾燥させてから化粧する 板にならべて口だけビニールで覆い 取っ手だけだして何時間かおく とかな 白化粧を勺ですくって内面にまわし掛けして 外側は白化粧に浸しこんで外掛けする 化粧をかけると いったん半乾燥までいってた品もンに 水がまわってトロントロンになる グニャグニャになる なのでできるだけ早く乾燥させなきゃなんない なので天日干しする または扇風機で風送って棚干し けどマグカップなどの取っ手がついてるモンを 水平に置いて乾燥させると グニャグニャなった本体が取っ手の重みにひっぱられて ダ円にひずんでしまうオソレがあり ヒドイ場合は取っ手がとれてしまうオソレもあるんで・・・ 取っ手の重みがカップ本体に 重力的にエーキョーをあたえないよーに 取っ手を上にして できるだけ傾けて乾燥させろよ♪ ★ひどい「ひずみ」は売りモンにならん 作る時にそれをふせぐ工夫をしとけよ 口から下1センチのトコだけには充分な厚みを ペラペラに作っとくとごっつひずむけど 口に厚みが残してあるとタガがはまってることになって ひずみは最小限ですむ+斜めにして手早く乾燥やぞ ---------------- なんでかわからんけど よその品に 白化粧を生掛けした「白い陶器」って あんまりないんやなぁ
やきもんの技法としては単純で あたりまえのことしかしてません ってゆーてるけど よそに無い←はっきりとウチの作行きをおぼえてもらえる よその品との差別化がきわだってる←これひとつの不思議 家庭の日常食器として白いものは 無難でとりあわせしやすく清潔感があって好まれる あたたかみのある白 絵つけのオリベのミドリのさわやかさで 年中飽きずにつかってもろて 和んでもらえる 詫・寂の味の濃いやきもん=黒いモン/焼き〆も もちろん器として食材をもってよく映えるエエもんやけど・・・ ちょっと今のニッポンの住空間にはオモタイのかもしれん・・・ よっぽどの焼物好きやないと そこまで手をだしてもらえん時代みたいや 白化粧の品もンの良さは「軽み:かろみの美」かな 作り手の趣味の押し付けにならず多くの方に好んでいただける --------------------------- ここが八風窯のベースや この先でオマエらがもしやるんなら このベースの上にいろんな花をさかせろや おもろいぞー ネタはいっぱいころがってる 備前/伊賀/壺屋・・・ これらのやきものを現代化して日常の器にしたて直す とか いろーんな洋食器を研究してそれをもっぺん和風化する とか いーっぱいの魅力あるやきもんがあって それを咀嚼しアレンジして今とこれからの道具にする そこには手つかずの無限の荒野がひろがってて オレのできひんかったことがまだまだいーっぱいある オマエらでやってみたらどーや? 自分流にそんな仕事したら一生飽きんと 楽しくやきもん焼いてくらして行けるぞ きっと ---
★生き陶11 穴窯には手をだすな
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