人はなぜ 山に登るのか 人はちっぽけ 人は簡単に死ぬ 自然は冷酷に 巨大 自然は冷徹に 永遠 ちっぽけな人が 持てるもの 不確かでひ弱な 知恵と体力と機知 しかし 人には それしかない そのささやかな すべてをかけて 巨大で永遠 圧倒的な 自然に抗して ほんの ささやかな歩みの 一歩一歩を 愚直に 記していく行為 あの山に登ろう と決めて 広大な谷と 広大な頂に チクチクと 運針のような 一歩一歩を 連ねる そしていつか山頂に至る 膨大な歩数 それを 愚直に 歩むことに 耐えた誇り が胸に残る 歩むことの 記憶こそが 達成感 歩むことで 頂に至った 優越感 それこそが 山に登る人 の王冠 誇ってイイと思う ながく たゆまず 愚痴りながら 無言で 無思に 歩む 励みながら ときに 投げ出し 休み なぐさめ また 歩みだす 歩を進める 自分自身 その精神 あり様を 誇るべきやと 思う 迷う 迷うとき 調べる 迷いつつ 選びとり 方向を決めて 行動をとる まっすぐ前を向いて 一歩をふみだす 不安にまみれながら 一歩をふみだす みんなみんな 山に登っている ほんとの山に 登らなくても みんなみんな 自分の山 に 登っている
10月16日 奥穂高から北穂高への稜線 ハシゴ場クサリ場には 霧氷が付着していた が 行動中はむしろ 暑い 風 さえなければ7月も10月もおんなし Tシャツ1枚 下はサポートタイツ 風 がでればその上に マムート(メーカー名)の合羽 を重ねる 上等なので 雨ははじくけど 汗は発散する ムレない ¥35700 ことし買った道具の「白眉」 絶大な信頼をよせてます♪ さすがに3000mなので Tシャツの上に長袖シャツ 下もサポートタイツの上に 薄い長ズボン そこにマムート上下を重ね着して 一歩一歩・・・ 前方の右 北穂高岳の南稜が見える 天候は決してよくない ガス基調 しかし ときどきガスが 切れる これで3度も来た 穂高の稜線 これでも 今回が もっともイイ天気 あー 晴れた山を見たいなー ええ グチもでますよー こー ガスばっかしやと 北穂高岳山頂 3106m 人がたくさんいる 到着10じ10ぷん ちょっと時間かかったな 穂高山荘に泊まっていた若い男の子 彼は完全な登山装備をしてない子なんですが 自身の足ごしらえの不十分さを認識してる かしこい子で ぼくが越えてきた岩の稜線の凍結を予想し 回避して いったん穂高山荘から涸沢に下りたのち そこから 北穂高岳の南稜線を登ってきて ぼくと同着 うーん かしこい子ぉもおるんやなー と感心した♪ 山頂では ほかのヒトとの情報交換しきり ええ 奥穂まで ハシゴ・クサリには霧氷ついてますけど 岩は乾いてますよ ほんとに陰にあたる岩場では すこし岩にもついてるけど そんなとこ ゼンブあわせても 50mもないですよ 乾いてる 晴れませんねー また ガスって来た 今年は雪が遅いねー 去年はいまごろ 初雪がいきなり40センチ 風速20m 何人も遭難したから 登山禁止命令 出たからねー アイゼンつけてみんな下に逃げた だから 完全装備できたけど まだ降らないなぁ あったかいなー 北穂高小屋で 水を買う 500ml ¥100 穂高山荘では 1リットル¥150 それぞれで違う 通常 行動中は 500ペットボトルを 3本携行してる 一本はザックの 背負いベルト その胸ストラップにつけて いつでもすぐ飲めるようにしている 北アルプスで 下界のコンビニで買った 六甲のおいしい水 や ボルビック や クリスタルガイザー や 各山小屋の天命水=雨水濾過煮沸消毒した水 を飲む 緊急の露営=ビバークに なった場合の煮炊き を 考えると1500mlは ギリギリの量 常に補給したほーがイイ このさき 南岳小屋は すでに営業を終わってる そのことの 注意喚起のための張り紙が 目に付くところに 張ってくれたーる 縦走稜線上で 水は得られない なにがあるか分からんからねー 小屋のオネーサンに聞いてみる 大切戸=キレット越えて槍まで 通常どれくらいかかりますか? 南岳までで 4時間・・・ だいたい 6〜7時間ですねー 10じ30ぷん 北穂高小屋から 大キレットに 痩せた岩の稜線 難所 クサリ場 はしご場 3106m→2780mの最低鞍部へ 320mを急降下する が まあなんとか 目指す 槍ヶ岳 は見えない が ガスがときおり切れ 前方 近場の尾根筋が見える 先行者2人 芥子粒のような姿が 切り立った岩陵の 切っ先 に認められる ひょえー あんなトコ 行くんけー と声に出る 7月息子と 西穂高→奥穂高 越えたんやし 大キレット なんか楽勝やろ と思もたけど 難所♪ 水平距離やと 2キロに満たない 大キレット 3106m→2780m→3033m南岳山頂 ここを越えるのは 4〜5時間かかる あぶないトコは ほんまにアブナイ 8月12日 一方 亡くなってる 60歳男性 100m滑落 でも ハシゴ・クサリ ボルト・ステップ 白ペンキでのマーキング・・・ 必死で 安全確保のための整備 がしてくれてある 勇気とバランスで ひとつひとつ越える ひ弱な自分が 精神力をふりしぼって 恐怖を克服する 危険の ひとつひとつを 越えることで 用心深さ と 臆病な自分 に裏打ちされた 危険を乗り越えるやり方 それが身に備わってゆく 危険に身がなじんでいく 緊張感の中での「安心立命」 南岳到着 14じ30ぷん ここからの稜線は安全 ホーッ♪ あいかわらずガスで槍ヶ岳はぜんぜん見えない 中岳3084m 大喰岳:おおばみだけを越えて こまかーいアラレがはらはらと降る中をしばらく・・・ あー こりゃ 槍ヶ岳山荘管理のテント場やなー・・・ 午後5じ 派手な毛糸の帽子の若い男性 アラレ降るなかでテント張ってはる 根性あんのぉー 若いもんは オッチャンは 小屋どまりにしますわ 今朝から11時間行動(ロス1時間ふくむ) きのうはテント張って 野宿 したから 今日はあったかい 小屋宿=フトン宿 ラクさしてもらいまっさー♪ さて この若者は 翌朝・・・ 翌朝 槍ヶ岳山頂6じに 撮った画像 まんなかの奥穂高岳から 出発して 涸沢岳 北穂高岳 大キレット 南岳 中岳 大喰岳 ぜんぶ見える♪ なにがしか みなさまのお心に とどきましたでしょーか? もしそーなら 次回が 報われる朝 槍ヶ岳開山 9 |