なごみのミドリ やすらぎの白 はんなりの赤
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北岳のトンガリ

 チュラ チュラ チュラ
 チュラチュラ チュララー♪

 月曜日に 五条の撤収〜♪    ←自宅泊
 火曜日は 宇治から甲府〜♪   ←車中泊
 水曜日に 北岳 登山〜♪    ←肩の小屋 山小屋泊
 木曜日は 八ヶ岳ふもと〜♪   ←自然文化園の池のそばでテント泊
 
    ↓  ↓  ↓  


北岳の登山口 広河原 水曜のあさ9じ15ふんかな

マイカー規制しているので 40分下の 夜叉神駐車場 か
1時間下の 芦安駐車場 から低公害バスに乗り換えて 入る


前夜 自宅を夜10じに出て 宇治の小倉に 
バイト上がりの次男リツを拾い 一路東へ東へ

スタート直後 東京新宿駅から 長男レンの電話
23:59発の 最終の特急あずさ に乗ったとの連絡
甲府着は 2:30ころとのこと 朝までどこかで待機 を指示

カミさんと二人で 交代で運転 6時間ほど 
名神 中央道 こっち方向には 渋滞はない カミさんによると
12日早朝 岡谷諏訪あたりの下り線は ひどい渋滞だったそう

甲府駅周辺は 土地勘がある
毎年12月に 甲斐クラフトとゆーイベントで 2回 来てる
なので4じはんころかな バス停ベンチで夜を明かした レンを拾う
芦安温泉にある駐車場までは 45分 とカーナビが言う

まだ朝が早かったんで その先の 夜叉神駐車場まで入れた
そこで山行きの支度を整え カミさんが前夜にぎったオニギリと
バーナーで沸かしたお湯で 味噌汁を作って飲む 8じはんのバス

夜叉神は曇ってたのに トンネルをいくつか抜けると
北岳周辺は すっばらしい晴天 

ここにも土地勘がある 下見はすんでる 
2年前に黒戸尾根から 甲斐駒ヶ岳をやり 
下山は北沢峠から広河原→甲府→JR韮崎
→タクシーで登山口である北杜市の竹宇神社へ



この日は 行動9時間 実働7時間
その7時間で標高差1663mを登り
山頂から200下って肩の小屋6じ前 カミさんにはキツかった

のぼりっぱなし キッツイ登りの連続で 6時間半
足があがらない 登りはほんとにゆっくりになる
それに ぼくもカミさんも寝不足である きつい

北岳 午前のうちだけは晴れて あとはガス 
せっかく 高い山に来たのに 展望は利かない なにも見えない

しかし 花の山=北岳 高山植物に彩られた山頂付近
広がるお花畑 風とガスのなかに 幽玄 にゆれていた♪

肩の小屋 すぐに食事 夕刻 西のガスが切れる



寒い ぼくは着こんで外に 30人ほどが歓声
カミさんたちは 部屋の窓から この景色を見た

翌朝6じから下山し 11じに広河原に着いたが
ぼくらが下りたルート 肩の小屋と御池小屋の間の稜線で 
この日の午後1じ 一方 亡くなったようである 
転落滑落の危険箇所はないから 体調不良と思われる
すれちがっただれかかも 挨拶を交わしただれかかも・・・

やっと晴れた夏山シーズン お盆の13日
レンによると 昨夜新宿発 満席の特急あずさ
全員が登山客だったそう 甲府駅から芦安へのバス
集中する登山客のために 臨時増発されてる
しかし山は とてつもなく大きい 分散する 
さほど混んでるカンジ はしない

 今回の収穫は 
 レンとゆっくり話せたこと

この下山のときに リツガクは先に行かせ
レンと親子3人 歩調を合わせて下りた
そして レンの東京でのくらし をくわしく聞き取った

 レンの行った京都の美術高校
 1学年は90人 うち男子は10人
 卒業した90人 うち進学が88人 就職は2人
 レン以外の もう1人の就職者は 家業従事の女子である

 レンは彫刻科に在籍したが 
 彫刻家になりたいわけでも なれるわけでもない
 受験勉強なんか2度とやりたくない と
 ほかの友達たちのように美大受験はしないと 2年からゆーてた

  美大に行きたくない
  大学に行きたくない それは ケッコウなこと
            それは 親孝行なこと
            大学にはいってほしくない   

  やきもん屋の親 子は3人 それができる所帯ではない



レンが高3の夏 ぼくと2人で 西穂高→奥穂高をやり
登山中 下山中 松本の居酒屋で この辺をとことん話した・・・

そしてわかった 17歳18歳の男の子も 
生きることの意味を求めてる 
生きることの哲学を必要としてる

かれらはとりあえず 自由をもとめている がその裏で
現実に怯えてもいる まだ歩き出していない からである

 何者でもないことには 無限の可能性がある 
 が すぐにそれは 無限の不可能性にすり替わる
 何者にもなれないかもしれない 

 自由 ではなく 
 不自由を選び取る覚悟 こそが 男の子には 重要

 したいことを見つける ではなく
 やらなければならないこと をやって それを好きになればいい

 親の養い扶持から離れ 稼ぎ 自活し自立し 衣食住と娯楽を賄い
 女の子を好きになり よりそい 子を成し 妻子を養い そして死ぬ          

  地べたで汗を流して働くことが なによりの学びの場
  そこで学んでこそ 血肉の通った足場 しっかりした足場
  生きていくこと 生き抜いていくこと そのための思想が得られる

  こんな考えの 親のもとに生まれたんは オマエの宿命
  宿命に抗うは徒労 その制約なかで 実現可能な夢 そして自立を
  やきもん屋はどうや? と水をむけたが 東京一人暮らし を選ぶ と
 
 レンは正社員はいやや しばられるさかい と
 職さえ決めず 去年3月末に 東京に出た
 その住む場所を決めるのに 東京ドームのあと
 不動産屋と いっしょに たくさんの物件を見て回った
 借り手の名義人は ぼくでしかないからである 
 久我山のフラット 若者お気に入りの井の頭線沿線である

  家賃は5万2千円ほどか 水道共益費含む

 レンには 東京で一人を暮らしする これが当座の夢なんやろう・・・
 高校でやったバンドやライブハウスでのバイト そこでの照明の仕事など
 そんなことのほーに 発展と居所を見つける気ぃなんかも とも・・・



 意外なことに ことし3月までの月〜金は 
 NEC関連のコンピューターのソフト販売 を電話でする
 新宿のオフィスなんてトコにいた はなから3月までと分かってた

 土日は イベント関連会社の仕込みなんてのも やってた
 富士ロックとか いろんなコンサートとか の裏方の仕事をいろいろ

 で 4月 ある工房のアルバイト募集に応募し
   4月末〜5月連休 のあいだに試用期間を経て
   6月からは渋谷にあるシルバーアクセサリーの工房で
   40歳の人の下について働いてる 月〜金11じ〜8じ

     シルバーアクセサリー てゆーても
     ドクロのリング みたいな若者向けではなく
     ブライダルオーダー物 とかのもっと上の分野
     石はめ=宝石埋め込み なんかもあるんで
     宝石関連の街=御徒町 なんかに仕入にいくとか・・・

     ああ だんだん ぼくの知らん世界に
     ああ だんだん 深く入っていきよる
     頼もしく うれしく こころづよく 寂しく・・・

   手作りの仕事 工芸の仕事 徒弟の要素が濃い
   働いてるとゆーか 仕事を覚えさせてもろてるとゆーか・・・
   8じ終わっても毎晩11じくらいまで 自分で練習してるらしー・・・

   そやからイベント会社の手伝い仕事は 行ってないそー
   毎日の仕事 プラチナや18金の地金作りの下仕事 研磨や鍛造
   かなりの筋肉労働らしー・・・

このへんのいろいろを レンから聞き取った
だんだん晴れていく 北岳からの下りの道・・・

森林限界線のまだ上 お花畑のなか ダケカンバの低い木 
目を上げると雄大な広がり 鳳凰三山 が見えている道・・・



地蔵岳 観音岳 薬師岳

ガクとリツを追わせて レンを先に行かせた
カミさんとふたりだけの道 あれこれと話した

 レンはツイてるよなー・・・

 バイトの応募は200人もあったとゆー
 連休中の試用期間には5人がいたとゆー
 美大の彫金科卒の人もいたはったとゆー
 ほんでレンだけバイトとして採用されて・・・

 こないだレンのための工具一式 鏨:たがね や バーナーや
 上の人といっしょに買い揃えに行ったとゆー 25万円分の工具 
 レン用の工具 会社が揃えてくれはったとゆー


 人生は 玉突き 
 玉はころがり 次の玉に当たり 
 その玉がまた 次の玉に当たり

  レン わかってると思うけど 
  ちょっとやそっとで止めたらあかんで
  レン わかってると思うけど
  3年 辛抱しぃーや
  3年 こっちから
     給料上げてほしー 
     とか言わんときや


 
 ああ 
 レンは
 きっと東京で 
 やって行きよるんやろう・・・ 


レンがくれた本=「東京の手仕事」に 
その工房の写真があり いちばん奥で レンが笑ってる

 一抹の さびしさ
 
 やきもん屋の仕事 やればいいのに 

 リツ・・・?
 ガク・・・?

 そんなこと 思いつつ下る 北岳のトンガリ 
 そんなこと 思いつつ下る 夫婦二人道  
 

 
 

いや へんなホーコーに発展してしもた
はい あしたはちゃんと山の話になりますんで

 

滝谷のトンガリ

 




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