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窯ぐれ往来 国内特別沖縄編
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窯ぐれ往来 国内特別沖縄編

3月に7日間沖縄に行ってました。
荒焼(あらやち:現地読み)の土を手に入れるためです。

荒焼は水瓶や、油壺、泡盛熟成のもろみ瓶などに使われる
焼〆陶で生活雑器として多量に鉄砲窯で焼かれていた物の総称です。
対するに上焼(じょうやち)は釉薬のかかった各種装飾技法の
もりこまれた上手の焼物ということで那覇市壷屋地区を中心に
焼かれてきた陶器をさす言葉です。

お正月に家族で沖縄に行った時、目にした泡盛で
とてもいい色の徳利に入れて販売されているものがあって
家に帰っても気になってしまい、とうとう首里城のそばの骨董屋さん
『天山堂』(荒焼の骨董の専門)に電話しました。

「穴窯で伊賀・信楽を焼いてるんですが窯の奥で焼くのに向いた
 土を探してます。荒焼土はどんな土なのか教えてください」

「それは島尻マージとジャーガルという土を7:3で混ぜたものです」

 この返事をたよりに伊丹発ANA201便の機中の人となりました。







 201便 那覇空港着 2:30 すぐに出発ロビーにあがって
      正月に見たあのいい焼きの泡盛をさがす。発見!

 豊見城村の泡盛の酒造メーカー『忠孝』の20年古酒(くーす)の
 徳利がそれにまちがいない!
 パッとみたところ備前のような、丹波のような・・
 おっと裏のラベルにはフリーダイヤルのナンバーが!

 「あのーもしもし、そちらのクースの徳利がすごく気にいったんですが
  どこで焼いてるんですか?」
 「うちで焼いてます」
 「えっ、そちらの忠孝さんが窯を持ってて・・」
 「はい、泡盛の工場の向いに忠孝の陶芸部があります」
 「ホントニッ、けっ、見学はできますか!」
 「明日の午後においでください」

 てっきりどこかの窯元に製作を依頼してるとばっかり思ってたので
 こんなに簡単に荒焼の土入手のための有望な糸口が見つかるとは・・

 その日は北谷(ちゃたん)のカラハーイにりんけんバンドのライブと
 宜野湾(ぎのわん)の島唄にネーネーズのライブを見に行って翌日の午後
 忠孝の陶芸部を訪ねてみると・・・


   大城会長みずから二斗いりの瓶の水挽き
   一日2本づつ





 てっきり鋳込みだと思ってたが手挽きでした!
 午前中はろくろ職人2名が製作
 午後は忠孝陶芸部(7名)が裏場の仕事




   ガス窯で3日間も引っ張て焼く
   焼成温度は ヒ・ミ・ツ ウフッ





   収縮率は20%を超えてる
   容積は水挽き成形時の4分の1に

 驚くべきことに、そこの社長が10年前岐阜の陶芸体験できる施設で
 ろくろを挽いたところできそうだったので、さっそく「忠孝陶芸部」
 を起こし、2年間の間に0,7のかまを140回焚き、土の選択、焼成の
 ノウハウを手探りで確立したそうで、陶芸に対するアプローチとして
 希有でユニークな成功事例だと思います。

 2年間何も生み出さないのですが、5000万注ぎ込んだそうです。
 焼いてる品は泡盛の『容器』なのにそこらの備前や丹波はふっとんで
 しまうぐらいの窯変・景色を出しています。ガス窯焼成で。

 そこの土は分けてもらえなかったんで、読谷村の陶芸家から
 分けてもらえるかも・・・とのこと翌日読谷村にむかいました。
 

沖縄2につづく




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