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JとKの隔たり 1
生まれてくる子供 
その子供たちには  絵画的能力 
          運動的能力 
          思考的能力 がそれぞれ備わってる

みんなみんなに ちゃんと備わっている

運動=走ったり飛んだり踊ったりすること 
思考=考えたり それをを組み上げること
絵画=絵を描いたり立体を作ったりすること

それらが それぞれ
みんなみんなに ちゃんと備わってる

しかし それは すぐに 
比較され より分けられ 
より突出した能力 のみが 誉めそやされる 

 上手いか下手か とゆー大人の基準で

これでスポイルされる
これでダイナシにされる

おおよそ すべての子供は 
白い紙に 鉛筆で線を引くのが 好きである

 グルグルグルグルグル・・・・と言いながら 

紙に線を引いている子供は まさしく 表現している のである

 グルグルグルグルグル・・・・と言いながら

紙に線を引いている子供は 表現の真っ只中 真っ最中 にいる 


幼稚園 保育園に行く前の子供 それをやる やりたがる
だが まわりの大人は たいしてホメない 評価しない

幼稚園 保育園に行くと もう グルグルグルグル と
線を引くこと 表現の真っ只中にいることが ゆるされなくなる

 上手い絵 分かる絵 その技術を覚えさせられる 

小学校に行くと ますます評価されてしまう
評価の基準は 表現しているか ではなく 
いかに上手い技術によって表しているか になってしまう
美術教育のカリキュラムの中で 絵を描かされる子供たち

 大人は 上手い絵 を求め それだけを 褒める

しかたないといえば しかたない 

表現技術の優劣=上手い下手 は比べることが容易 
表現したいとゆー強い思いは 子供たちみんな 特にはない 
図画工作 美術の授業だから 大人の基準で比べられる

表現したいとゆー思いは 落書きの中でやるしかない
それにもすでに 上手い絵 の基準が入ってて 
表現したい欲求 からは かなり遠くなってしまってる

 まあ イッショウケンメイ
 怪獣とかアトムとか鉄人28号とか
 ゴクウとかスーパーサイヤ人を 真似て描く落書き

小学校中学校で 美術の成績を
54321とか 9年間つけられて
321の子たち は自分には美術的才能がない と 思わされ
54の子たち=上手い絵を描ける子たちは 美術的才能がある と 自覚する

 でもいるんですよね

 そーゆー評価基準で 振り落とされない子や
 描きたい表現したい やむにやまれず描く人 がいる

 描くことが好き 描くことが自分 
 上手い下手 世間の評価関係なく 
 描き続ける人 が ちゃんといる

描かない 描けない 状況を経ても
眠らせていた欲求が 覚醒して
表現への意欲が噴出 ほとばしる って人が ちゃんといる


15年前=1994年 八日市文芸会館で 
大正2年生まれ 当時81歳の女性画家の 大きな企画展があり 
それを見てショックを受けた 表現とはなにか を考えるキッカケだった
         
            ↓

 長尾の田植え風景  油彩 130×162センチ 1971年


この絵 このとき58歳の女性の絵 
    美術教育を受けることなく 主婦として生き
    子をなしてのち 50歳からダンボールに描き始めた人

    子はプロの画家である
    その子がいたからこそ 母の才能 は世に出た


 阿蘇の山あそび   油彩  73×91センチ  1981年


この絵 このとき68歳 熊本県出身の 塔本シスコ の絵
    山下清や谷内六郎 日本の素朴派の系譜 そんな絵

素朴派 とかそーゆージャンル分けレッテル張り は無意味

見れば 圧倒される そのマチエール=質感=タッチ=情熱
    丹念な刺繍のような うねうねと 厚みのある筆致

    遠近法の無視 大胆な構図 
    記憶の底にある風景で 画面を構成

    正々堂々 華やかで 力強い
    生き生きとしたエネルギー
    こむつかしくない 

    描くことへの情熱とまっすぐさ
    思いのままを あけっぴろげに
    紙に線を引く 子供のような絵

四畳半 に立てた100号キャンバス 
    50号も30号も 同時進行 描きつづける絵
絵三昧 の毎日 手の届く範囲のテーマと素材で
    温泉地 観光地 海外 にも行かず
    沸き起こる表現意欲 描き続ける日々 

50歳 1963年から描き始めて 
93歳 2005年に逝った画家 塔本シスコ

1992年 80歳の記念の画集 
そのあとがき 美術家 塔本賢一 の文に こうある

  白いキャンバスに たちまち花が咲き乱れ 
  鳥がうたい 蝶が舞う 塔本シスコの世界
  ひたすら 自分の目線と尺度で 描いていく
  純粋な制作態度は たびたび私を 
  創作の原点 にもどしてくれる


その母の制作態度を 息子はこう言い止めている  

 塔本シスコは キャンバスを 耕す


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JとKの隔たり2 明日につづく




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